2019年から、京都・美山の茅葺き民家で暮らしながら、建築の設計を続けてきました。
縁側を抜ける風、雨上がりの土の匂い、冬の朝の冷え込み。七年間の暮らしのなかで気づいたのは、日々のささやかな出来事こそが、空間を豊かにしてくれるということでした。
京都・久多に建つ築二百年の民家を改修した「巛日 –sennohi–」には、そんな暮らしの実感をひとつずつ重ねています。周囲の自然を切り取るように開口部を設け、季節や天候の変化が室内の時間に入り込むようにしました。
一方で、厳しい冬を心地よく過ごせるよう、必要な場所に床暖房を配し、断熱性能を高めています。新しくすることだけを良しとせず、座敷や床の間には、そこに積み重なった時間をできるかぎりそのまま残しています。
暮らしの中心には、iwashita akiraによる漆の焼き付けを施した大きな囲炉裏テーブル。頭上には、senによる漆と和紙の特注ランプシェード。同じ時代にものをつくる仲間たちの手仕事が、古い家に新しい日常を灯す。
特別なことをするためではなく、何気ない一日をよく味わうために。長い時間を生きてきた家と、これからここで過ごす人の時間が、静かに重なっていく場所を目指しました。
富田 晨 Shin Tomita
日々代表 / SIBO主催 / terroir architect KK. CEO
1994 大阪生まれ
2017–2018 STÜCHELI (Switzerland)
2020 京都工芸繊維大学大学院建築学専攻 修了
2020–2024 木村松本建築設計事務所
2023 日々 設立
2023 クリエイトユニットSIBO 設立
2026 terroir architect KK. 設立